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[コメント] 犬の生活(1918/米)

街角。ティルトダウンすると塀で囲われた空き地の中に寝ているチャップリン。スクラップスという挿入字幕が出て(犬の名前であることが明示された上で)、犬のショットが来る。ごみ置き場のバケツの中みたいなところにいる。
ゑぎ

 この犬の登場ショットはラストショットと対になっている。ちなみに、このスクラップスという犬の名前は劇中で1回も使われない。これには違和感を覚える。また、空き地のチャップリンと犬のショットはクロスカッティングだ。

 塀の向こうに移動式のホットドッグ屋が来る。塀の下から手を出してソーセージを盗んで食うチャップリン。盗み食いは、本作で何度も反復されるモチーフになる。あるいは、ソーセージを盗んだチャップリンを体格のいい警官−トム・ウィルソンが見るのだが、この警官の現場目撃モチーフも繰り返し描かれて諧謔になる。チャップリンと警官の塀を挟んだ追いかけ合い、中でも地面を転がる二人を繋いだ演出が興味深い。多分、2台のカメラで同時に撮影されたものではないのだと推察する。

 こゝから、10匹ぐらいの野良犬を使ったアクション演出にも瞠目するが、ソーセージ屋の屋台とダンスホールを舞台とした食べ物の盗み食い、及び財布の盗み合いの反復には私はあまり面白みを感じなかった(ついでに云うと、エンディングまで盗まれた金が絡むという倫理観についても、私にはどうでもよい)。私が好きなのは、ダンスホールの新人歌手としてヒロインのエドナ・パーヴィアンスが登場し、悲しい歌を唄う場面だ。店内の全員が大げさに泣き始めるのもナンセンスだが、チャップリンの後ろの高い席にいる大女−女装したヘンリー・バーグマンの落涙の過剰さがいい。あと、屋台の男−シド二ー・チャップリンとの絡みの場面で、ポン寄り、ポン引きみたいな、継続した時間の中での寄り引きのカッティングがある。

(評価:★3)

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