[コメント] 一日の行楽(1919/米)
最初は建物(家)の前の道で、家族が自動車(T型フォード)に乗り出発する場面。次に遊覧船の場面(邦題の行楽は主にこゝを指している)、3つ目は、車での帰路の、ある交差点での出来事だ。
3つの場面で共通している画面の中の運動がある。それは物が揺れたり傾いたりする、斜め、傾斜の運動だ。一番面白いと思ったのは、冒頭の車を揺らせる演出で、チャップリンが車を蹴ると乗っている母子ともども左右に揺れ、エンジンをかける(クランクを回す)と、またまた車が揺れるという演出。ちなみに、このシーンで、ロングショットからポン寄りしてフルショット、逆にポン引きしてロングへ切り替えるカッティングは、2台のマルチ撮影編集のように見える。
遊覧船の場面では、お得意の船が左右にローリングする画面を持ってくるが、本作のこの見せ方は、かなりワザとらしい。『移民』のようなスムーズさのないものだと思った。運動で面白さを作るよりも、船酔いあるいは睡魔に起因するギャグが専らになっている。チャップリンが椅子の組み立てで難儀するシーンも長い。
3つ目の交差点場面も出来はイマイチと思うが、こゝの傾斜モチーフとしては、チャップリン自身が、道路にこぼれたコールタールに足がくっつき、身体が斜めに傾く演出を指摘したい(ちょっと無理やりな気もするが)。しかし、よく考えると、この場面の具現化は、かなりの身体能力がないとできないだろうと思われるものだ。地味だが見せ場に違いない。
#備忘。
・チャップリンの2人の息子の小さい方は『キッド』のジャッキー・クーガン。船長と、交差点でタールに足がくっついた警官はヘンリー・バーグマン。船上でチャップリンと喧嘩になる男と、マンホールから落下する警官はトム・ウィルソン。
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