[コメント] サニー・サイド(1919/米)
キュートでイノセントなチャーリー像が際立つもやや滅裂なSO-SO作品
ウスノロを戸外に追い出し、一歩間違えれば車に轢かれてしまうといった悪ノリが驚きのチャップリンのダークサイドも垣間見れるコミックキャラクター像が殊更際立った翔んだ一作である。しかし、そのキャラクター像の活発な印象はこれまでの作品の中でも群を抜いて旺盛である。私生活でも躁鬱気味であったチャップリンを思うと、モロ躁状態で撮影に臨んだと思われるやや破綻傾向のあるパッケージである。それでも作品に漲るパッセージの展開は小気味よく、チャップリン作品の着地点としては個性的な仕上がりであり、その点では新鮮な感慨を持って響きも良いが、まさに過渡期にあってフィルモグラフィ上特異なポジションにあるといえる作品である。本作はチャップリンがスランプの時期にあった作品といわれるが、そうであったならばなおのこと自家発電的滅裂なアプローチが必要だったのかもしれないとなんとなく腑に落ちる仕上がり。インプット即アウトプット的な性急さが見て取れる荒削りな感じもまたチャップリンの真摯な姿勢を物語る。
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