[コメント] 漫才ギャング(2010/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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漫才という世界を芸人が描いているのだから、意外と簡単じゃない?というのは素人心。芸人が映像を通して漫才人の人生を描くというのは、専門分野だから逆に難しいはず。それを品川は見事やってくれましたね。恐らく彼の脳裏にはやりたい事がいっぱいあって、無尽蔵にいろんな発想が湧いて来ていると思う。
映画として面白いものを、観客にバカ受けできる面白いものを、しかもその中に小さな人生や幸せもひっそりと入れておきたい、そんな彼の心配りの気持ちがこの作品のあちこちに散らばっている。
俳優の使い方も最後まで一人一人考え抜いている。これほど多くの登場人物もきっちりと無駄がなく全員を配置し、彼らはきらきら光っている。俳優がみんな輝いている。
2時間強、全く無駄がない脚本だからか、だれるところが全くないのだ。これは品川が極力のサービスを観客に提供しようとする意志力でもある。
通常であれば精神的にも恐らく繊細な彼のこと、1本を作ればほとほと崩れ落ちるはずであるが、まだまだ無尽蔵に才能溢れる彼はやりたい仕事がいっぱいあるに違いない。すこぶる楽しみな逸材である。
俳優は全員素晴らしい。ちょいシーンだけの登場の俳優もきりりと光っている。いぶし銀である。主役の俳優たちはもちろんいいが、中でも脇役の宮川大輔の恐ろしげなる毒演は特筆もの。圧倒的だ。秋山竜次のおたくっぽい怪演ぶりも うなる。大悟もなかなか癖のある演技で儲け役だが、まるで真の俳優のようであった。
いやあ、ほんとに、地震でちょっと心が暗くなりがちだったけど、久しぶりに明るく笑えましたね。そしてどんな底にいても、這い上がる道はある、と教えてもらえましたね。品川監督、次回も楽しみにしています。
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