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[コメント] ブラック・スワン(2010/米)

息もできない』感覚で前半を終え、後半はホラー映画だったとは!(2011/10/15)
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まず、ナタリー・ポートマンの演技はすばらしい。この役は正に彼女でないとできないかもしれません。『レオン』の彼女を思い起こすと隔世の感がありますけど、要所要所でステップアップしてきた彼女のある意味集大成的な作品になっていますね。

前半の描き方は悪くないと思います。

何かに押しつぶされそうな心理描写を見事に表現できている。自分がスターに上り詰めようとしているのに、なぜか違和感を感じる。『息もできない』ような感覚。苦しさが画面から押し寄せてくる。

トップスターの悲劇って本当にこのような世界なんでしょうね。目に見えない重圧と自分を超越するための過酷な努力。技術ではなく内面の恐怖ですね。見事ですね。

この監督は前作の『レスラー』でも同様の内面描写がうまいなーと思わせましたが、この映画の前半にもその力量が出せています。

不安定なハンディカメラの揺れもそんな内面を表現していますね。

しかし、後半はかなり陳腐なホラー映画になってしまいます。

このあたりの表現はもう少し工夫があってもよいのではないでしょうか。

傷、爪、足、ドラッグ、性愛などなど、清楚で純粋なバレリーナがどんどん別の面に入り込んでゆく恐怖。いかにも怖いという内容を示すのに、あまりにも技巧にこだわりすぎて、ややもするとB級ホラーに終わってしまいます。

それを辛うじて文芸作品ぽくしているのは、ほかでもないナタリー・ポートマンさんの演技ですもんね。彼女が幼いころから習得したバレエがここで生かされました。そして性的な目覚めにいたるまでの官能表現も悪くない。彼女がこのような演技をするようになるなんて、自分も歳をとるわけですよね。

(評価:★3)

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