[コメント] さや侍(2011/日)
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ラストがそこそこの仕上がりではあるので、鑑賞後の印象は悪くない。野見隆明の使い方も良かったと思うし、最期のシーンも上手く撮れていた。その後の街の僧(竹原和生)が演じるあの一連のシーンは邪道ではあると思うが、それでも悪い印象はなかった。これだけでも大きな「進歩」ではないか。
ただ、前半はかなりズタズタで、個人的には「ごっつ」の「こづれ狼」を見たくて仕方なくなったほど退屈なシーンが多い。特に、りょう、ROLLY、腹筋善之助の3人はストーリー上の必然性もなく、設定も全く生かされていない。笑いという意味でも不要で何をしたかったのか理解出来ない。もしかしたら普段のブレーンに対する「照れ」なのかもしれないが、本作の終盤の構成を見る限り、そういった「サービス精神」は一度切り捨てた方がかえってよくなる余地が見えるかもしれない。
あと、根本的な部分として野見がなぜ藩内の人々の支持を得たのかという点、そしてこの「三十日の業」が持つ訴求力を作中に表現する気がないのはいただけない。ここは映画そのものの推進力に係わる。どんなはったりでも良いからロジックを用意して欲しかった。
斯様に欠点も多いが、これまでに比べればよっぽど「映画」である。この方向で今後も勝負するかは分からないし、松本監督のメインターゲットがこれを望むかどうかも不明だが、松本監督のフィルモグラフィにある意味での光明が見えた作品になったと言って良いのではないか。
(2011.6.14 tohoシネマズ上大岡)
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