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[コメント] エリックを探して(2009/英=仏=伊=ベルギー=スペイン)

襟を立てたふたりの“キング”がスティーヴ・エヴェッツを見守る。ひとりは云うまでもなくエリック・カントナだが、もうひとりはロックンロールのキング、エルヴィス・プレスリーだ。ゆえに劇中で鳴らされる“Blue Suede Shoes”は作者カール・パーキンスではなくプレスリーが吹き込んだそれである。
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近いところで云えば『明日へのチケット』、時代を遡れば『ケス』などもそうであったように、フットボールが絡んだときのローチはコメディ演出に非常な冴えを見せる。まずは熱狂的なフットボール・ファンの微笑ましさを掬い取るのが巧いということになるだろうけれども、エヴェッツをひとりずつ笑わせにいく作戦や胡散臭い本を頼りにした自己啓発など、個々の着想も奮っている。ローチの腕の確かさ・コメディとの相性のよさは既に知れていたことだが、演出家とともに高い安定感を保ちながら爽やかな息吹を映画に持ち込んだローチ組の面々(ポール・ラヴァティバリー・アクロイドジョージ・フェントンら)の結束力も改めて認識する。

ロックンロールを伴ったダンスシーンも幸せだ。涙で目が霞んでしまう。こういう素敵なダンスシーンがある映画はそれだけですばらしい。

(評価:★4)

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