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[コメント] ツリー・オブ・ライフ(2011/米)

映画の歴史を変える。それはこれまでの映画の要素や特徴が山のように盛り込まれているから感じる記憶(デジャヴ)の映画だからだ。(2011/8/17・丸の内ルーブル)
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







あの主人公は自分だ、とまず思わせます。家族を守れなかった自分そのもの。

そして、この映画の中で示される登場人物のどれかが自分、あるいは誰かに該当すると思わせます。

さらに、映画の表現法が過去の映画の何か(どれか)に当てはまる既視感が見る者に安堵感を与えます。

スタンリー・キューブリックのようでありイングマル・ベルイマンのようでありテオ・アンゲロプロスのようであり寺山修司のようであり、ほとんどすべてのシーンに何らかの記憶を呼び覚ます感覚がありました。

テレンス・マリックは聖書の一部を取り上げて、人間社会と人類創世までの道筋を描ききっていますが、それはキリスト教的な手法を用いながら仏教の輪廻にも通じる世界観ですね。

冒頭、次男を失った母親の苦悩を示すセリフに、世俗に生きるか神の恩寵に生きるかという問いん投げかけますが、夫と妻の立場でこね矛盾に抗うことができずに崩壊してゆく家庭を守れなかった妻にも世界が崩れゆく輪廻をどうにもできない苦悩が表現されています。

最近みたことのない迫力に満ちた映画でした。

(評価:★5)

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