[コメント] 探偵はBARにいる(2011/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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私は『まほろ駅前多田便利軒』のコメントで、「今のご時世、私立探偵物なんて出来ない」といった趣旨のことを書いたが、この映画は(意外にも)真っ当に、不自然さもなく私立探偵物として成立している。 いやあ、面白かった。 まさか、あの珍作と名高い『茶々』の監督とはね(観てないけど)。
この映画は立派にハードボイルドとして成立している。や、お見事。
日本の(映像界での)ハードボイルドは「ルパン三世」の影響を色濃く受け、中でも『ルパン三世 ルパンVS複製人間』はその頂点だと私は言っている(『カリオストロの城』は全然ハードボイルドじゃない)。 大泉洋のキャラクターはルパンを彷彿とさせ、松田龍平はさしずめ次元大介のようだ。 え?五右衛門?んー、松重豊演じる老舗ヤクザの若頭じゃない?サウナでのストイックさとかさ。 この三人がボロ車の中でヘリコプターを見張ってるシーンを見ながら「あールパンぽいなぁ」と思った。 え?峰不二子?そりゃあーた、安藤玉恵ですよ。ナポリタンを出す喫茶店で無駄にお色気ふりまく謎のウェイトレス(笑)。実際、役名は「峰子」。峰子?
ルパンより何より、この映画、というかこの話、まるで「ロング・グッドバイ」だと思ったのは私だけだろうか? どこがどう符号していると挙げつらう気もないし、ハードボイルドのイメージはだいたいこんなもんだと言われるかもしれない。 しかしどこか、自己の利害とは無縁のところで、消えた男の謎を探る探偵の姿が「ロング・グッドバイ」を思い出させる。 それは金のためでもなければ、ましてや安い正義感などでもない。 あえて言うなら「プライド」。 正直、あんまり真正面からチャンドラー的要素をぶつけてきたことに面食らいつつ、ちょっと男泣きしちゃった。
原作なのか脚本なのか分からないが、ハードボイルドの何たるかが分かって(あるいは充分に意識して)書かれた話だと思う(少なくとも監督の力量ではなさそうだ)。
(11.09.11 ユナイテッドシネマとしまえんにて鑑賞)
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