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[コメント] 親愛なるきみへ(2010/米)

一描写ごとに丁寧で、なんでもないシーンがとても魅力的に見える。ラッセ・ハルストレムの作品はワンシーンワンシーンの印象がとても爽やかに残る。でも本当に言いたいことはそんなことじゃない…。
deenity

たった2週間という短い期間で猛烈に愛し合った二人。想い合うのに会えないジレンマ。それでも強い想いで結びあう気持ち。よくある恋愛物の展開で、ベタっちゃベタだけど個人的に好きだった。

しかし、サヴァナが婚約したあたりからどうもいただけない。 まず冒頭で見せたあの銃撃されるシーン。そこをラストにつなげてくるのかと思えばそうでもない。 サヴァナはどんな気持ちでティムと結婚したのかが明確でない時点で不満だが、会えないつらさだったり同情だったりがあったと思う。 気持ちが揺らがないように電話もせず結婚したんなら、そこから引き戻す口説き文句の伏線ならばまだすっきりしたのに。 ベタベタな恋愛映画にはなるけど、見終えた時の気持ちの良さはあるんじゃないかな。 まあもちろん父への手紙の場面に持ってきて、親子の寄り添うところはジーンとさせるものがあったけど、「そこに持ってくるんかい」ってなっちゃった。

というか正直サヴァナが別れ際に「すぐに会おうね」って来るとこは目をつぶれるんだよね。ジョンが「さよなら」で返すのがすごく切なくてうるっときたから。 問題はそのあと。親父のコインコレクションを売って寄付したんでしょ?おかげでティムとの貴重な二カ月を過ごせたんでしょ?すごいかっこいいじゃん。そこでまたよりを戻すなよ!てかそこが一番気にくわない。

この映画でのコインの役割は大きい。だからこそ、売ったお金で彼女に幸せな時間を与えてあげられる切ない役に徹してほしかった。そう考えると父親との思い出のコインも売るべきなような気がする。 出来損ないのコインと銃撃で出来損ないになったジョン。もちろん動けるようにはなったけど、出来損ないとしての価値を見出して、出来損ないにもできるけじめを見せてほしかった。サヴァナの幸せを願う男で終わっていたらどんなに切なくて、どんなに感動させて、どんなにかっこいいことか。 自分がひねくれてるからですかね。この映画にはハッピーエンドではなく、そういうエンディングを描いてほしかった。

(評価:★4)

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