[コメント] コンテイジョン(2011/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
コンテイジョン(contagion)と辞書で調べると出てきた三つの意味。
1、(病気の)感染
パニックムービーらしい群像劇だが、ソダーバーグ監督の淡々さが活きている。ミニマムな視点からマキシマムな視点への切り替わり、しかも超豪華な演者陣を散りばめまとめるわけでもなく、同じ時間軸でつらーっと描き切るスタイルが見事にハマり、感染の写実性を持たせた。
2、(接触)伝染病
接触本来の「コワさ」、ヒトの肌に触れえぬことへの「脆さ」「ツラさ」が見事に伝わる演出。ラストのマッド・デイモンの亡き妻を惜しむ気持ちと娘を愛し未来へ繋げるシーン、ローレンス・フィッシュバーンの父と子どもとのやりとりのシーンなどは「脆さ」「ツラさ」を乗り越えた「強さ」を示し強い感動を誘う。
3、(人から人へ移る)悪影響
言うまでも無くネットによる扇動をひき起こしたジュード・ロウとその仮面を被ることで正当化されてしまった暴虐の民衆たちは、先の震災を想起させた。日本の国民性が和を尊ぶ良心へと導き逃れたが、もし震災後個々人が利己的にしか動かずにいたら・・・こうなっていなかったと誰が言い切れるだろうか。この映像表現は決して虚像ではない。むしろリアルな光景だ。
と、いつもの私らしからぬほどここまで本作品同様に淡々と評してみたが、全体の総評としては、
伝染(病)の可能性は誰にでもあって、伝染(病)に伝染しない術も必ずあるのだという、本来説教臭いはずが小気味な語り口で話されるので思わず最後まで聞いちゃった。
という感じ。静かだけど確実に脈を打つ佳作。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。