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[コメント] マイウェイ 12,000キロの真実(2011/韓国)

カン・ジェギュなりの答え。日本映画界ではこういう方向性で勝負しようという人はそんなにいないのかもしれない。
SUM

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







カン・ジェギュ4本目の監督作品。シュリが当時の韓国映画として画期的作品であったことは疑いようがない(韓国映画の枠を超えてなおレベルが高いかどうか、ではなく、あくまで韓国映画として。それがわからない人は単に韓国映画を見ていない)。ブラザーフッドもそういった側面がある。あれはあれでたまげたものだ。カン・ジェギュが輸出を意識した映画作りをしているのは明らかで(ただし、その対象は日本だけとは限らないことに注意)、しかし、ブラザーフッドの日本公開前には「日本では戦争ものが受け入れられる」ととあるインタビューに答えていたカン・ジェギュであるが、本心で言っているなら的がずれている感が実はあったのだが(実際ブラザーフッドは、まぁ韓国映画にしては客は入った方だが興行的に狙った水準からは程遠い低いものだった)、まさかその路線に近いものを改めて打ち出してくるとは思わなかった。その点においては、本作はブラザーフッドと比較して、日本人をもターゲットにした作品にはなっていた(あくまで比較の問題)。

実話をもとにしているといっても、別にこの映画のような道をたどった人がいたわけでもない。映画公式ウェブサイトでの解説でもせいぜい「そういう人がいた可能性はゼロとは言えない」という微妙な文言が何度も出てくる。まぁ実際、「いないとは言い切れない」的なものはあるのだが…。その辺に突っ込みを入れて史実面からの批判として史実と違うと突っ込んでいる人たちもネットでは見かけるがだから何だ的なものも感じる。

京城(現:ソウル)のシーンは、まぁリアリティはぼちぼち。いやまぁあの百貨店当時は云々といった突っ込みは見かけてそりゃあるのだが、まぁ私はそこは流す。しかし、暴れた連中が一式捕まってノモンハンというのはどうよとはさすがにね…。でも、映画だと割り切れば別にそれは致命的ではない。

捕虜からロシア軍へのルートも、2カ月で大佐ってどういうことなのとかまぁ、なんというか、ドラマとしてそうしたかったのねーとは思ってなかなか微妙。ノモンハンの捕虜に日本人以外で帰還を選ばなかった兵士が多数いたという指摘は公式サイト参照のこと。まぁそういう人たちがノモンハンへ行くきっかけがなんだったかという指摘はまぁあるだろう。

ロシア軍から抜け出してドイツ軍へ。まぁ実際ノルマンディ防衛に東方大隊という外人部隊を大量に当てていたのは事実でそこに当時の日本(植民地が含まれるかどうかを私は確認していないがカン・ジェギュは複数コリアンいたと確認できたようなことを言っている)。いたとして彼らがどこから来たのかははてさて。

まぁ歴史の事件の史実としてはとりあえずおいておいて、日本人とコリアンの登場人物の関係というところでいえば、まぁ映画としておかしいとは私は思わない程度には当時あったであろう程度だ。まぁこの辺の演出を認めたくない日本人と韓国人が一定数いそうである所によくまぁ切りこんだねとは思っている。

まぁでもこの映画の致命的に白けてしまう点は、ブラザーフッドほどではないが、主人公二人がやはりスーパーマンすぎる所にあるのではなかろうか。あとは、主役俳優二人の実際の年齢が設定より高すぎる的な違和感(顔がね…)。

まぁでもしかし、日本的特攻精神をソビエトの地で目の当たりにして改心させるとかまぁ演出としてはぼちぼちなんじゃないですかね。そこに噛ませたチャン・ドンゴンがヒーロー的過ぎて鼻につくのは国際関係がどうのをわきに置いといても映画的傷だと思うけどね。韓国映画がここまでの戦争アクションを撮れたのは私は喜びたい。

(評価:★4)

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