[コメント] 装甲騎兵ボトムズ 孤影再び(2010/日)
ヒトと同じ外見を持ち、喜怒哀楽の感情を持ちながら人間と見做されぬ者たちの愛と戦い…それを描きたいならば、ヒントである『ブレードランナー』より一歩進んで、彼ら一人ひとりの愛憎をもっとクローズアップして欲しかった。特に自分の贔屓キャラであるテイタニアの報われぬ自己犠牲の心は、むしろ主軸にされて然るべきであろう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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はっきりと言えばボトムズ最低の愚作であるOVA『幻影篇』に思い切り不満を蓄積させられた自分だっただけに、硬派ながらも、他方から見ればこの上なく優しいヒトならざるものの純愛譚である『ボトムズ』がやっと帰ってきてくれた、とこの上ない嬉しさで迎えたいこの作品ながら、やはりもっと上映時間は長くしてもらいたい、と燻る気持ちを抱えながら劇場を出ることとなった。
仲間たちとその後継者はこの物語には必要不可欠には違いない。だが、その存在理由は普通の底辺の人間たちとして、戦争の中でしか生きられない悲しい超人たちの心を慰めるためにこそあった筈だ。この短い作品のなかで、最重要人物のひとりであった筈のテイタニアの人生をあっさりと終わらせてしまうのはあまりにも辛い。彼女もまた、レプリカントを模したような「ネクスタント」の運命ゆえに短命と設定され、結局はこの後いずれ甦ることが必至なフィアナの代わりにはなり得なかったあたりが、いかにも哀しい。
テイタニアはフィアナを結果的に殺してしまったことで自分を責め続け、キリコに暁の星となったフィアナを見ろと強調し、己の恋心を否定し続ける。その瀕死の彼女を抱きしめるキリコ…そこだけは名場面と言わずにはおれない。このあまりにも悲しい抱擁で4点をつけた。願わくばフィアナと再会するキリコの物語が「傑作」と呼べるものであることを祈る。
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