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[コメント] ニューヨークの王様(1957/英)

チャップリンの、愛憎相半ばする“アメリカ”
G31

赤軍に国を追われてアメリカへ亡命した元国王に対し、共産党員の嫌疑をかけるなんて馬鹿げたことをアメリカがやるだろうか、と問われれば、今のアメリカを見る人なら「さもありなん」と答えるだろう。アメリカの困ったコマーシャリズム(CM主義)をアメリカ自身が風刺できるようになったのは90年代以降(例。『トゥルーマン・ショー』)だし、チャップリンの慧眼には恐れ入るほかない。なにより、仕草で笑わすスラップスティックなギャグが影を潜め、トーキー向けのお笑いをようやく自在にした感があり、純粋にコメディとして完成度が高い。『モダン・タイムス』『独裁者』『殺人狂時代』『ライムライト』のようにメッセージを押し出しすぎて、作品の一貫性を損ねるようなこともなく、後期(トーキー以後)チャップリン作品で、一番出来がいいと思う。

85/100(07/04/14記)

(評価:★4)

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