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[コメント] ウタヒメ 彼女たちのスモーク・オン・ザ・ウォーター(2012/日)

あの曲の曲名が初めてわかった。わかりやすい脚本に演出で新鮮味はほとんどない。しかし生々しいというか、日々の暮らしで「はあーあっ」とため息をついてしまいそうな事を正面から描いて、その上で、大丈夫だよとちょっぴり元気が出るようにつくってある。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「スモーク・オン・ザ・ウォーター」がすべてにわたって軸になっている映画だと思う。劇中でもフレーズをさらっというだけで「あ、アレね」「そう、アレ」となるシーンが出てくるが、それだけいかにもロック!という感じのこの曲があればこそ、という場面が最初から最後まで何度も出てくる。

洋楽にはとんと疎い私でも、この曲は聞いたことがあるしロックだとわかる。これまではただそれだけで、曲名には興味もないから知らなかったが、本作を鑑賞して初めて曲名がわかった。ちなみに、YMOの「スネークマン・ショウ」の中にこの曲を古い音楽の代表みたいに扱っているギャグがあるが、それだけずば抜けて普及した、ありふれた曲でもあるのだろう。

そういう曲だからこそ、ともかく何かやらなきゃだめだ、そうだ、この曲をバンドでやろう、というのが、何故かしっくりくるというか、とっぴな気がしない。

後はもう、本当にわかりやすい展開というか、芝居ではあるが4人の女優がそれぞれ好演していて、等身大の姿を崩さない。そして黒木瞳は主役らしく全体を見事に引っ張っていると思う。

ラストのコンサートでの演奏は、いったんグダグダになって電源が落ちたまま開始された。あれはあれで電源抜きのエレキの音も悪くないから、そのまま行くのも良いかもしれない。ただ、さすがにキーボードは全然だめだしドラムだけはやたらでかく聞こえるからごまかしも聞かないから無理か。

だから、高校生のわかりやすい好意で電源が入って、音が出始めて客が帰ってきた。流れからすると、いささかファンタスティックな感じがしないでもない。ガランとした体育館で電源抜きで自己満足的に演奏して歌って終わり、でもドラマとしては十分だとは思った。しかしやはり映画としては、電源はいって音が出て客が帰ってきて盛り上がったコンサートで締める、とならないとカタルシスみたいなのがないよなあ。

そういう意味でも非常にわかりやすい映画だが、その素直で真っ直ぐ励まそうとする姿勢は良いと思う。

(評価:★4)

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