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[コメント] オーバー・ザ・トップ(1987/米)

スタローンが主演した腕相撲アクション映画の中の最高傑作。
G31

 スタローンの息子役(マイケル=デビッド・メンデンホール)が良かったです。僕はてっきり、軍事幼年学校を卒業したばかりのマイケルは小学校6年生相当、12歳ぐらいかと思って見てました。実際のところは、メンデンホールの実年齢(映画公開当時で16歳ぐらい)から言っても、中学卒業程度、15歳ぐらいの設定なのかもしれません。でも要するに、大人に背伸びしたマセガキの側面と、純粋な子どもの側面を両方持っていて、初めのうち「なんじゃこいつ」と思ってましたが、そのうち「この世代の子って、こんな感じだったのかもな」と思わされてました。少なくとも、トレーラーを運転させてもらったシーンの喜ぶ様子とか、演技とか芝居ではなく、シルベスタ・スタローンと共演していることを純粋に楽しんでいる少年にしか見えなかったです。あれが芝居だったら末恐ろしいですわ。

 物語も単純明快でしたね(僕の好み)。親子の情をそれなりに描きつつ(つまり、そこを描くことが目的ではない)、きちんとアームレスリング大会の優勝決定戦まで話を持っていくところに、スポーツドラマとしてのシンプルな美しさがありました。スタローン主演のスタローン映画で、スタローンが負けるわけないって分かって観てるはずなんですけど、やっぱ手に力が入りましたもん。まあ、ある程度は、70年代までのアメリカン・ニューシネマ(それこそ『ロッキー』も含まれるか)を観てきた反動かもね(←ないない)。

 婿のホーク(スタローン)を忌み嫌う金持ちの義父(ロバート・ロッジア)が、雇った弁護士に対して、「(親権をホークから奪い取るのは法的に難しいと述べたことに)それを考えるのがお前の仕事だろ! そのためお前を雇っているんだ!」と怒鳴りつけるシーンがありました。金持ちとか、成り上がりに代表される傲慢さを表すシーン。もちろん悪くない。けど、僕だったら、娘(マイケルの母。ホークの妻)の手術を執刀する医師に向かって「助かる見込みが低いだと?! それを何とかするのがお前の仕事だろ! そのためにお前に金を払っているんだ!」とかそっちにお金をつぎ込んでくれたら良かったのにと思わされる。まあ、映画を愉しむということは、自分の寛容さが試されるのだと思って、満足しましょう。

 もちろんスタローン主演の腕相撲映画がほかにあるのかどうか知りません(ねえだろ)。

75/100(23/12/2記)

(評価:★3)

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