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[コメント] ワン・デイ 23年のラブストーリー(2011/米)

壮大な皮肉。
あんきも

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







23年間の恋愛模様を、毎年7月15日だけの輪切りにして 見せるというアイディアは面白い。この「ワンデイ」手法 が効果を上げているかどうかは別にして、この手法自体は 興味深いと思う。

「イケメンの男友達とのつかず離れずの恋愛」という形式 を取っており、主な客層を30代あたりのOLとして売上 を獲得する、というのがこの映画の表の顔か。しかし、この 映画に込められた皮肉、居心地の悪さといったらもう・・・。

カッコイイだけで中身はダメダメ、女とはやりまくりのデク スターを思い続けるヒロイン。彼は学校卒業後、最初のうちは TVの世界で成功するが、調子に乗り、うかれ、生活は荒れ、 女は引き続き食いまくり。余命の少ない母親の心配も忠告も 彼には届かず、結局は自分の実力不足で?凋落する。 一方、ヒロインのアン(役名忘れた)はダサイ女学生で、 卒業後も冴えないが、最後は成功する。いつのまにか可愛く なり、モテるようになる。

二人はつかず離れずの友人関係のまま、それぞれの人生を歩む。 男の方は「華麗な恋愛遍歴」を残していき、結婚して子を設け、 そして離婚。下降。 女はさえないコメディアン志望に惚れられて同棲するが、デク スターを忘れられず別れる。その後物書きで成功し、売れたら 垢抜け、可愛くなる。(そう、可愛いのだ。)

で、最後は二人、なんだか分からんが結局結ばれる。

女性側からみると、昔から憧れていたイケメンと長い「親友」 関係の後、結局結ばれるという、非常にロマンチックな展開 という見方もできるだろう。 しかし裏を返せば、男のダメダメ人生と、そのダメダメな男を 想い続けたイタイ女と、周りを振り回し続けた二人の話とも いえる。そしてラストの芸のない最低な落とし方。皮肉が 効いている。

デクスター周りの表現で、ひっかかるところも多い。実家で眠り こけて目が覚めたらよだれべったりとか、昔寝た女の結婚式で、 新婦の歌う歌が超音痴だったり、娘と丘に登ったシーンで、娘のこと を親友と言ったのに対し、娘は「パパは親友じゃない」と返したり。 どうも、居心地の悪いシーンが配置されている。

ということで、安定感のあるOL向けの恋愛作品でもなく、 出来そこないの恋愛映画でもなく、この映画は非常に嫌味の 籠ったブラックな作品なのだ、などと、鑑賞後帰ってから考えて しまった。とてもタチが悪い。

そんな風に見てしまった私、性格悪いですか?

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)代参の男

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