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[コメント] バイオハザードV リトリビューション(2012/米=カナダ=独)

役者として、クローンの少女ベッキー役のアリアーナ・エンジニアが『エスター』の頃と比べて、今回、手話のやり取りだけでなくセリフを喋っての演技も見れたのは、演技面だけでなく、何か大きな成長を見せられた感じで感動してしまった。
わっこ

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バイオハザード』のシリーズ5作目。

今回は4のラスト直後から始まり、洗脳されたジルが率いるアンブレラの特殊部隊に襲われ意識を失い、海底にあるアンブレラの実験施設に捕らえらたアリスが、アンブレラから反旗を翻した前作の敵であったウェスカーが派遣したレオン、エイダらの救出チームと共に脱出する展開。

バイオハザード』のオールスター作品という印象で、今まで登場しなかったゲーム版のキャラであるレオン、エイダ、バリーの登場だけでなく映画版にも登場したゲームキャラのジル、カルロスや映画版1作目のオリジナルキャラのレインやワン、4作目のルーサーも再登場している。

ミラ・ジョヴォヴィッチのアクションは相変わらず動きが洗練されていて、いつ見てもカッコいい。特に今回はチェーンと銃を駆使したアクション捌きがなかなか良かった。

3・4とややゲーム版の世界観から離れていた印象のシリーズだが、今回はゲーム版4・5に登場した敵キャラが多数見られる他、バリーがゲーム版同様にマグナム銃を愛用していたり、ゲーム版を意識した動きをシーンに取り入れるなどゲーム版へのオマージュが多く見られる。

そういう点ではゲーム版のファンには今作はなかなか満足のいく展開かもしれない。ただ、相変わらずキャラの扱い方に優劣が激しすぎるのが残念。

今まで映画版のオリジナルキャラであるアリスが中心になりすぎ、他のゲーム版のキャラの扱いがおざなりな印象が強かったのが、今回、エイダ、レオンら味方側にもそれなりに活躍場面があるのはよかったのだが、逆に敵側のジル、レイン、カルロス、ワンに大した活躍場面がなく、部隊となってアリスらを追い詰めるシーンも銃を乱射しているだけで、ジルとレインを除いてあっさりやられてしまい、終盤になってジルとレインがいきなり大ボスとしてアリスたちの前に現れても唐突な印象を抱いてしまう。最後の格闘戦も、プラーガを注入したクローン・レインに対しレインとルーサーが劣勢の中でエイダも応戦するかと思いきや、全く戦わずにアリスが助けに現れるのもバランスが悪い気がする。

ストーリー的にも、今回、クローンのキャラにも各々の人格があることを見せつけ、アリスとクローンキャラが脱出しようとする際に、クローンの製造ゾーンを目の当たりにし、戸惑うクローンの描写があるのだが、味方側のレインにも、敵側のレインを目の当たりにし同様に戸惑うようなシーンを作ってもよかったと思う。というより、せっかく敵と味方のレインを出したのに、出会わずに味方側があっさりクリーチャーにやられては、敵と味方として出した意味が無いと思う。ただ、リッカーにさらわれたベッキーを母性に目覚めたアリスが救出しに行く『エイリアン2』のような展開は悪くない。

ラストはアンブレラの人工知能レッド・クイーンの侵略により退廃した地上世界を舞台に特殊能力を取り戻したアリスらとの全面戦争を感じさせる終わり方だが、人工知能による世界侵略という形を見てしまうと、あからさまに『ターミネーター』にしか思えず、『バイオハザード』らしくない気がする。4の最後以降で安否が不明のクリスやクレア、Kマートがどうなったのかが語られずじまいなのも気になる。

役者として、クローンの少女ベッキー役のアリアーナ・エンジニアが、『エスター』の頃と比べて、今回、手話のやり取りだけでなくセリフを喋っての演技も見れたのは、演技面だけでなく、何か大きな成長を見せられた感じで感動してしまった。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)IN4MATION[*] 中世・日根野荘園[*]

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