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[コメント] 最終目的地(2009/米)

アイヴォリーの新作。と言っても3年ほど前の映画だけれど。彼特有の、まさに文学たる匂いぷんぷんの、少々お高い所に位置する映画です。なにせ主人が不在の邸宅には妻と元夫の愛人と子供、そして義兄と男の愛人が住んでおります。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







設定はとてもスキャンダルで何が起こっても不思議はないんですが、結局、異郷地であるウルグアイという安住の地を主人公の青年が踏み込むことで、安定した蜃気楼は崩れていくんですな。それをだれが呼んだか最終目的地に向かってみんなそれぞれ新しい人生を手に入れていく。

ただそれだけの話なんです。アイヴォリーだから、演技派をそろえ各自の人生にゆっくりと波間が広がるさまを丁寧に映像化している。主要な俳優は登場人物それぞれがまさに全員主人公であり、見事に均等配置している演出も秀逸だ。

でもねえ、いい文学を読んだなあと言う読後感はあれど、自分の人生に入り込むものはやはりなかったように思う。あれも人生、それも人生、別に人の人生をとやかく言う気にはなれない自分。

ある意味予定調和の映画だとも言える。ウルグアイの軽やかな空気と白人の中で佇む真田広之のアジア的風貌が余韻となって残る。アイヴォリーって、いつもこんな感じだね。

(評価:★4)

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