コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 地上より永遠に(1953/米)

アメリカ版『二等兵物語』は生温く、伴淳が見たら怒り出すのではないかと思われる程度だが、敗戦でもないのにジャーナリズム発の自浄効果で体質改善が図られるのはさすがだ。先進国、という気がする。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







脚ひっかけ、無駄な穴掘り、掃除のバケツひっくり返しぐらいで、本邦旧軍のイジメから比べればほとんど何でもない。しかも、訴えてもいいんだと教えてもらってモンゴメリー・クリフとはそうしないのだった。もちろん、この程度でも人権侵害だ。 面白いのはクラブ活動の位置づけ。部隊の名誉のためのボクシング、勝てば大尉が少佐に昇進、部員は全員下士官、とある。大組織でクラブ活動が昇進の要素になるのはよくあることだろう。私の元職場ではテニス人事があったしゴルフ人事があった。大人数だから全員の把握などできず、上司はクラブ活動で気に入った部下を引っ張り上げるのだ。本作が描くのもそんな世界で、実に生々しい。

あと、トランペットのテクは面白い。ピストンのない軍隊ラッパでも上手はあれぐらい吹いたのだろう。グラウンドのラッパの拡声装置も面白い細部。マウスピースだけで「再入隊ブルース」にオブリガードつける件が格好いい。しかし、ブルースで思い出すが、この時期でもまだ黒人がひとりも登場しないのは嘘臭い。軍隊ものなのに。

ハワイ奇襲は冒頭の新聞に「JAPS ADVANCE IN CHINA」との見出しを掲げる前振りがある。ランカスターはここで直ちに上陸対応を指示しているのがリアル。なんで日本軍って上陸しなかったんだっけ。爆風で建物の窓が一斉に閉まるショットがいい。

悪名高きシナトラは儲け役でもあるが好演、ボーグナインが「猿面」と本当のことを連発するのも当時落ち目だった証明なんだろう。ランカスターカーの中年愛は邪魔で、適当に片付いて良かったぐらい。ドナ・リードはジュリエット・ビノシュにとても似ている。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。