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[コメント] さよならドビュッシー(2013/日)

原作既読。あえて一言言うならこれはこのミス受賞作でありながら、ミステリーではない。詳細はreviewにて。ピアノの家庭教師役・岬役に本当のピアニスト清塚信也をキャスティングしたことは本作の音に対するこだわりを感じたが、演技力という点ではやや力量不足。医師役の吉沢悠が序盤に語り過ぎな点は原作通りなのだから仕方ない。
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







岬探偵シリーズの一作目。

この作品は遥が実はルシアだったとわかってからが紙数を割いている。

つまり冒頭で「生き残ったのは遥じゃなくて実はルシアなんじゃないの?」と観客に思わせるような本である。

医師が饒舌に話す点、ルシアと遥の幼い頃の姿形が似ている点などはその好例。

本作は「実はルシアである」とわかって観せられている。

つまり、幼少の頃に自分の限界を知り断念したピアノを、亡き遥の夢のために、遥の両親や他のみんなの期待のために「遥を演じ続けるルシア」の物語なのである。

少なくともその意味で言うなら、本作はミステリーではない。

最近、このミスを受賞する本はミステリーとしては駄作が多い。

だが、ミステリーとしてでなくこの本を読んだ時、その評価は異なる。

この映画は比較的原作のミステリーでない部分を丁寧に描いているにも関わらず、過剰にミステリーであることを喧伝した予告がその評価を下げていると思われる。

(便宜上遥と表記する)遥を亡きものにして利を得るものは誰か、という点で黒幕は自明の理だし、実行犯もそこから推察するのは簡単。さらに言えば「DNA鑑定しろよ」という突っ込みどころも満載。

ただ、繰り返し言うが本作はミステリーではない。だが、シャンルは悲しいかな、ミステリー。点数は自ずとしょっぱくなる。

もっと早い段階でルシアの心情を描写して、人間劇に針を振った方がよかったと個人的には思った。

次作、『おやすみラフィマニノフ』の方がミステリー色は強い。続編として映画化されるかどうかは知らないが。

余談だか、パーマがキツ過ぎる清塚信也は途中から稲垣吾郎に見えて仕方なかった。

(評価:★3)

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