[コメント] ビルマの竪琴(総集編)(1956/日)
原作とは力点が異なってますが、どちらも傑作です。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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竹山道雄原作の同名小説の映画化。竹山本人は実際には戦争には行っておらず、小説自体はむしろファンタジーの類に近いのだが、完成度は大変高い。私も子供の頃に子供用に書かれた薄い本を読んだ記憶がうっすらとあるが、大人になって読み返しても、やっぱり面白かった。むしろ戦争を殊更に悲惨に描くのではなく、こんな一面もあったかもしれないじゃないか。という発想は、今観ても充分新鮮さを保っている。
流石にビジュアル的シーンの多い映画だと、叙情的な部分はややなりを潜めているが、悲惨さを強調することによって、逆にその牧歌的な意味合いと水島上等兵の決意の程が対比的に描かれることになり、原作とは違った味わいで楽しめる。この当時の市川監督はこういう挑戦的な作風でもきちんとしたのが作れたのが凄いと改めて思わされる出来となっていた。
下手に安易な戦争否定に走ることなく、あくまで人間的な感情の変化と、仲間意識とで話をつないでいく。結局映画とは、人間を描くことこそが重要であると言うことをはっきりと主張しているのだろう。
もし強いてこの映画の平和的思想を取り出すとするならば、結局平和とは、上から与えられるものではない。相互の心遣いと個人の信頼に基づくところから始めねばならない。という事になるか?
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