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[コメント] もぐら横丁(1953/日)

芳兵衛を島崎雪子がキュートに演じる愛すべき作品。文学青年敗走の記録。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







尾崎の私小説、忘れ難いのは奥さんの芳兵衛で、主人公の一連の内省は釈然としない中途半端なものだと思う。この内省(ウジウジとも云う)が省略された風俗映画が面白いのは、尾崎にとっては皮肉なことだろうし、世の文学青年にとってもそうだろう。

なぜ芳枝が結婚する気になったのか、「だって一度決めちゃったものを考えてもしようがないじゃない」。なんという達観であろうか。悩みながら一生を終えてしまう文学青年に対する、これはある種の暴力だ。現代ではすでに勝負がついている。文学青年など、もう流行らない。この分水嶺を本作は刻印しているのであった。

(評価:★4)

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