[コメント] 新宿マッド(1970/日)
戦前戦後の日本を体感したこの父親には生活実感としての「権威嫌悪」が染み付いている。ときおり無意識のうちにを頭をもたげる暴力性と強靭な意思は、若者たちの狭窄的な革命幻想を圧倒する。生存欲求としての止むにやまれる実力行使こそが変革をもたらすのだと。
ここで描かれる「探索の物語」は迷走する新左翼への真摯な警鐘だ。アナーキスト足立正生と若松孝二の時代感覚は、60年代に頻出し始めていた新左翼の内ゲバによる目的の喪失が、その後の連合赤軍事件を経て閉じられた殺人報復合戦へと向かう末路を予見している。
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