熊井啓の描くやくざは近代を通り越して清水次郎長時代のメンタリティを持つかのようで、べらんめえ口調の滑らかさはいささか違和感が半端ないシロモノだ。それはいいとしても、ヒーロー赤木に輪をかけてドラマティックすぎる穂積隆信の裏の顔が強調され、主人公が誰なのかわからないドラマには困惑させられた。