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[コメント] ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区(2012/ポルトガル)

コスタ>オリヴェイラ>エリセ>カウリスマキ。本気度が感じられるのはコスタぐらいで、あとは皆流して撮っているような感じ。ま、流して撮ってもこれだけのものを作ってしまえるのは流石。
赤い戦車

1カウリスマキ「バーテンダー」。冒頭バー内部に灯りが点くカットから見事な照明。全編台詞なしで中々見せるが、スープ飲んでクローズアップ、そしてダンスのショットに繋ぐのはちとダサいと思う。まあ、いつものカウリスマキです。ティモ・サルミネンとのタッグはもはや盤石か。映像のコクは『街のあかり』『ル・アーヴルの靴みがき』を経て更に深くなっている。

2ペドロ・コスタ「スウィート・エクソシスト」。これが一番好きかな。夜の荒地で人が歩いたり寝転んだりしているのを映すだけで何故こうも面白くなるのか。更に突然謎のエレベーターへ。コスタは狭いエレベーターの内部を、照明と編集のみの力で「宇宙船」へと変貌せしめる。

3エリセ「割れたガラス」。こないだ観たジャンクー『四川のうた』に似ている。最後に映し出される写真には感動したが、今後作る(予定の)長編のためのテストということで、これが本気とは思わない。個人的にはもうちょい廃墟を映してほしかったです。出演者の顔ぶれは確かに選別してる。

4オリヴェイラ「征服者、征服さる」。これも素晴らしかった。ポルトガル王の彫像とガイドらとの切返しに笑う。なんじゃそりゃ!?という笑 体感としては一瞬で終わったので物足りなさが残るね。もう一時間ほど観ていたかった。

どうも世間ではカウリスマキ編が一番人気のようだが、悪くいえばあれはいつものカウリスマキを濃縮して抽出しただけに過ぎない。映画の深淵に近づき、映画を震撼せしめる可能性があるのはむしろ他の三編であろう。特にコスタ編。

(評価:★4)

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