[コメント] 天使の処刑人 バイオレット&デイジー(2011/米)
この題名はどうもいかがものか、あまり考えないで作っちゃった感もするなあ。最初の出だしはアクションっぽいが、それ以降実にしんみりした話になる。これは予想外の映画である。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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お贔屓シアーシャの冒頭の尼さんスタイル殺戮シーン。仕種がちょっと変だなあと思ってたんだよね。でも気のせいかと流していたら、後で真相が明かされる。なるほどこの監督、結構心情的な映画を作ろうとしている。
シアーシャの言動から彼女が純天然少女で現世界に相容れない人間であることが示される。彼女たちのなれそめは語られないが、あの若さでヒットマンになるということはそれなりの事情もあるのだろう。そういう説明的でない分から通常の映画ではないことが分かる。
でも映画の方はそんなことにわずさわれることなく、彼女たちはある一人の中年男性と対峙することになる。
ここからがこの映画の神髄に入っていく。こんな少女マンガ風の展開に慣れない、あるいは嫌いな人は、この先うんと退屈な時間がただ待っているだけだろう。何気なくいい歳の男と少女が手合せ遊びをしたり、そこには実にユニークな空間があり、お茶目で楽しくそして哀しい。
この少女ヒットマンたちも世の普通のティーンエイジャたちも想いは同じなのだろう。そして父親と娘のどうしようもない断然を切り開く何かをこの映画は暗示してくれているのだ。
アメリカでこういう繊細でユニークな映画が製作されたことは実に奇跡的なことのように思われる。僕はその純粋な映画心に共感し、賛辞を送りたいと思う。素敵な映画だ。秀作。
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