導入部、平静と訓練を命じ、本番の緊急時にも冷静沈着に対処するキャプテン・フィリップス。

そんな彼が終盤、いきなり手紙→医務室での崩壊となるのが、この映画の白眉。 トム・ハンクスが一人ですべてを持っていきます。この部分はもうさすがの一言。 『アポロ１３』やラングドン・シリーズよろしく、ミスって焦るときの演技は国宝級、いや世界遺産級です笑

ただ、最近の映画には珍しく、個人的には徹頭徹尾、勧善懲悪の映画にしか見えなかった。もちろんそれが悪いとは言わない。それに、最初の方で犯人側の苦しそうなお家事情を描いてるし、心揺れる少年兵もいて、犯人側も単なる悪人としては描かれていない。よくわめく人も単に短気でパニクってるだけだ。

でも、「犯人側がこうなってしまった背景には、被害者側（今回は超大国アメリカ）にもこんな責任あるんだよ〜」みたいな展開がまったくなく、犯人の動機と被害者のリンケージに言及がない。それがために、後半はアメリカ軍最強！的な展開にしか見えず、せっかくのハンクス御大の演技に水を差しているような、そんな印象を受けてしまいました。

ちなみに、どうでもよいですが、トム・ハンクス、『キャスト・アウェイ』、『天使と悪魔』と、泳ぐシーンの多い俳優さんですね笑