[コメント] ゼロ・グラビティ(2013/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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名作という表現はしっくりこないが、傑作には変わりない。
映像は確かに凄いが、それ以上にこの映画、音の使い方・脚本の出来の良さが・演者の良さが圧倒的に際立っている。それは映像のそれをはるかに凌いでいる。 なまじっか映像が良いので、"それだけに"目を奪われてしまうのがとても惜しい。 映像で圧倒した『アバター』がよく引き合いに出されるが、決定的に違う点がここにある。
音のない世界で、、他の映画でよくあるのは衛星の欠片がぶつかるときには轟音で演出したりするのが常だが、この映画は欠片がぶつかる音を表現するのではなく、サンドラ・ブロックの呼吸音やBGM、映像の衝撃で演出してくる。これはすごい。
また宇宙というとてつもない空間の中、虚無にさらされるサンドラ・ブロックの呼吸感が、観客とシンクロする。観客の緊張やハラハラをなぞらえたような、図ったかのような演出は見事の一言。時折インサートされるサンドラ・ブロックの目線のシーンがまるで自分が体感してるような錯覚を覚えさせてくれる。 きっと宇宙ではそんな感じなんだろうな。『アルマゲドン』とは違う。
娘を失ったサンドラ・ブロックの過去との決別、それを乗り越えて地球に帰還するという成長譚もありがちではあるが、この映画にはよくあっている。
冒頭の宇宙空間で一瞬シーンと音が消える場面で一気に緊張感が増し、91分間、一気に見せてくれる。ヒューストンの映像や、娘との回想シーン、ジョージ・クルーニーとの惹かれ合い(映画にはないが)など、通常であれば挟みたくなるようなシーン・くだりをすべて排除。これでもかというほどスッキリした映画に仕上がっており、その結果、他の追随を許さない映画となった。
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