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[コメント] ダラス・バイヤーズクラブ(2013/米)

「脚本を信じて、2人にカメラを向けるだけでよかった」と語ったジャン・マルク・ヴァレの言葉がすべて。
ナム太郎

まずはその2人、マシュー・マコノヒージャレッド・レト。彼らの演技は本当に素晴らしかった。減量のことばかりが話題に上がるが、「減量の本当の意味は、見た目じゃないんだ。体の変化に合わせて自分の全てが内面から変わってくる。気力や体力。歩き方やしゃべり方に呼吸の仕方まで。だから減量は絶対に必要だったんだ(※パンフレットより抜粋)」というレトの言葉にもあるように、その行為を通じて彼らは心身ともに与えられた役柄に成り切っていたし、その覚悟がフィルムを通して、少なくとも私には確実に伝わってきた。

あの細かな表情のひとつひとつは、確かに死を意識した人のそれであった。が、それもやはり俳優の力だけではそこまでは伝わらないところもある。その意味では、上記のようなコメントを残しながらも、彼らの覚悟に誠実に応えたジャン・マルク・ヴァレ監督の苦悩もまた、本作を一段上のレベルに上げる原動力であった。

また、死と向かい合うことで、初めて生きることの意味を知った男たち。そんな彼らを慈母の眼差しで見つめるジェニファー・ガーナーの存在感も、ともすれば厳しくなり過ぎる物語に一服の清涼剤を与えた。

この世には、本物の薬よりも映画のほうが体に効くという人々が確実に存在する。私を含めそれらの人々にとって本作は、何物にも代えがたい1本と成り得たのではないだろうか。

(評価:★5)

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