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[コメント] 白昼の通り魔(1966/日)

不運。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 連続殺人鬼という、われわれの常識からは想像できないが、確実にこの世に存在する人格に、迫ることを試みた作品であると言える。まず思ったのは、大上段に構えるようなことは当然なく、かといって邪悪さに取り込まれることもない、ある意味健全で、冷静な視線。きわめて完成度の高い作品だと思った。もしこの映画が同時代から評価されなかったとしたら、私が監督だったらグレてしまったに違いない。

 実際には、殺人鬼・英助(佐藤慶)本人は、内心に大きな空洞を抱えた人間として描かれているだけのように思った。その狂気の原点は、映画の外側にあると思う(それが拡大し、巣食っていく様は映画の中で克明に描かれているが)。むしろこの空洞が、周囲を吸い込む求心力として働き、彼を含む4人の男女の人間関係と、それぞれの人物像を描くのに役立っている。変な言い方だが、ある種の青春群像劇といった印象も受けた。

 時代の転換期に生まれ、時代の転換を生きてこざるを得なかった若者たち。ここには、若者であるがゆえに、身をもって転換を体現せざるを得なかった者たちの、苦悩と嘆きが描き出されている。だが彼ら自身は嘆くようなことはなく、果敢に矛盾に立ち向かっていく。自殺を試みる源治(戸浦六宏)でさえ、前向きに死んでいくようであるのは、少なくとも大島が彼らを好意的に捉えている表れだと思う。

 にもかかわらず、彼らを襲うこの陰惨な結末。どうしてこうなってしまうのだろう。私には、不運、という言葉しか思い浮かばなかった。

85/100(09/09/13記)

(評価:★4)

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