[コメント] 大統領の料理人(2012/仏)
2つの時間軸を交互に語る語り口が上手いと思う。映画の語り口というものを熟知しているというか。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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大統領の料理番まで務めた方が、なんでこんな最果ての地に来ているのか。彼女の身の上になにが起きたのか。どういう思いでここへやってきたのか。そして何を思いながら働いているのか。
映画の語り口を熟知していると思ったのは、こういう疑問というか疑惑めいた感情を生じさせることに成功しているからだ。そしてこれこそがストーリーへの関心として機能する。
実際には、この思わせ振りな演出が示唆する“落魄”とか、“都落ち”というイメージはちっとも関係なく、単に彼女にとって新しい挑戦だったというに過ぎない。だから語り終わりは少し締まりに欠けているけれど、ここまで人生の重量感を味わわせてくれたら、そんなことはもはや気にならないのだ。
も1つ言うと、料理映画って、見たことも味わったこともない観客に、「おいしそう」と思わせることって実は難しいのじゃないかと思うが、とてもおいしそうだった。実際のレシピを忠実に再現したということだが、ただそれだけじゃないんじゃないかと思うぐらい、視角的にも配慮されたメニューだったのかもしれない。
80/100(15/04/21記)
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