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[コメント] 女ともだち(1955/伊)

徹底した縦構図の映画。二人の人物のテーブルを挟んだカット等でも手前と奥に人物を配置し奥行を見せる。
ゑぎ

 前半では、主要キャストが浜辺へ繰り出す場面あたりから、とても調子が良くなるが、このシーンでも画面の中を縦横無尽に人を歩かせ、それを縦構図で収めている。ミケランジェロ・アントニオーニらしい開かれた空間は、この浜辺のシーンの他にも、乗馬が通る川の土手が印象的だが、こゝでも画面奥を意識させる。土手の斜面の下でも乗馬の往来を反復させる等。あるいは閉所では、列車の通路の手前に主人公−エレオノラ・ロッシ=ドラゴらを置き、奥に、シスター(尼僧)と子供を配置するカットが顕著だし、主人公と恋人が歩く子供時代の町の一角の場面も、画面奥に遊ぶ子供たちが縦構図で示される。

 ロレンツォ−ガブリエル・フェルゼッティとネネ−ヴァレンティナ・コルテーゼが芸術家夫婦という設定なのだが、創作場面も無く、いずれも芸術家に見えない。また、ロゼッタ−マドレーヌ・フィッシャーがロレンツォを愛する納得性もいまいちか。つまり、ロレンツォがもっと魅力的な俳優であれば、かなり違っていただろう。エンディングは、結局、成就されない愛を描いており、アントニオーニらしい帰結で収まりがいい。

(評価:★4)

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