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[コメント] がんばれ!ベアーズ 大旋風(1978/米)

マイケル・リッチーが製作を務め、ビル・ランカスターが脚本を手掛けたためもあるのだろうか、「駄目男の再生」という物語の主題において、このトニー・カーティスは正篇のウォルター・マッソーと通じ合っている。その卑屈さが何とも沁みるのだ。若山富三郎との間に育まれる友情(?)も胸を締めつける。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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前作『がんばれ!ベアーズ 特訓中』で日本遠征を誓い合ったタナー・ボイル役クリス・バーンズとティミー・ルーパス役クイン・スミスがともに降板したことが計り知れない損失として映画に暗い影を落としている。頭でっかちの眼鏡少年アルフレッド・オギルビー役のアルフレッド・ルッターが見当たらないのも寂しい。確かに映画は彼らに代わる新選手を投入してはいるし、ハンク・アーロンに憧れる黒人の外野手アーメッド・ラヒーム役のエリン・ブラントらに成長を認めることもできる。ケリー・リークを演じたジャッキー・アール・ヘイリーはもちろん、一作目から飄々と「生き残った」皆勤選手たちは改めて見てもとてもよい面構えをしているし、実に好き勝手な言動をしていて嬉しくなる(トビー・ホワイトウッド役のデヴィッド・スタンボー、ルディ・スタイン役のデヴィッド・ポロック、ジミー・フェルドマン役のブレット・マルクス、ヒスパニック兄弟の弟ミゲル・アギラール役のジョージ・ゴンザレス。兄ホセ役のジェイミー・エスコベドはここで降板)。だからこそ痛感するのは、私にとって「ベアーズ」とは以下の四名、すなわちクリス・バーンズ、クイン・スミス、アルフレッド・ルッター、そして第一作でマイク・エンゲルバーグ捕手を演じたゲイリー・リー・キャヴァナロであったということだ。

しかし、それでもこれは捨てるには惜しい輝きを持った映画だ。大人たちの思惑などに囚われず勝手に日本チームと仲良くなっているベアーズの連中。名シーンと呼ぶほかないラストの空き地野球。子供映画の水準を優に超えているのは明らかだろう。あるいは大人に目を向けても、このトニー・カーティスの造型はやはり買いだ。金のために良心を捨てて働かざるをえない男のほろ苦さ、そして改心するさまをよく演じている。

(評価:★3)

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