それは、長女・幸役の綾瀬はるかへの違和感…。

原作を読まずに映画だけご覧になった人は、このような印象を持たないのかもしれないが、吉田秋生の原作に感動して映画を観た立場からすると、綾瀬はるかの長女役には違和感しか感じられなかった。

次女・三女と養子の四女は、女優達が原作のキャラにもマッチし、好演していた。 しかし、長女・幸はこの四姉妹の要で、気丈に妹たちを守る母親的な存在であり、仕事もバリバリの看護師である。 そのような幸の象徴がキリッとしたショートカットだと思うのだが、この作品で綾瀬はるかはロング（セミロング？）の髪を後でまとめているだけ。違う！ 違う！ それじゃ、演技以前に、幸の気丈さを表現できていない。ショートカットは、幸のキャラクターの象徴ではないのか？

そして、残念ながら、綾瀬はるかには髪型の違和感を払拭できるほどの演技力はなかった。 大人の事情があってショートカットにはできなかったのだろうが、それなら役を受けないという選択肢はなかったのだろうか？ （最近、彼女がショートカットにしていたのを見て、なおさらそのことを強く感じる）

…と文句を言いつつも、少し霞んだ鎌倉の風景を巧く取り入れながら四姉妹の人間模様を描いたこの作品がなかなかの秀作であることは疑いない。