[コメント] ドリーム ホーム 99%を操る男たち(2014/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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「マネーショート」は、同じサブプライム問題で、儲けるの、儲けないのということに明け暮れる、超一流俳優を並べた、いわばサクセスストーリー。「1%」の側の話。
その裏で、マイホームを剥がしとられ、絶望の淵に落とされて、泣き叫ぶ。敗者の「悲劇」。「99%」の側の話。あっちが「会議室」なら、こっちは「現場」だ。映画としてどっちがヒットするかといえば前者だが、映画として面白いのは、絶対に後者。
と、比較から始まったけど、少し思っていた映画と違っていた。キャッチコピーの、「一人は家族を守る為、一人は復讐の為、魂を売った」。これだと、カーヴァーが、家族を守る為。ナッシュがカーヴァーに復讐する為なんだと予想していたが、逆だったようだ。でもカーヴァーの復讐?はピンとこない。
でも、家を剥がし取るシーンの壮絶さは、背筋が凍る。保安官まで従えての、容赦なき追い出し。神も仏もありゃしない。
ナッシュは、家を追い出されてから、工具を探す先でカーヴァーの元での仕事を、「やるよ」といいながら、少しずつカーヴァーの右腕にのぼりつめてゆく。最初は目先の生活費、そして元の家を取り返す頭金に、次第に元の家ごと、さらには新しい家へと。歩合を交渉しながら、「コツ」を覚えてゆく。「クソまみれ」あたりは、労働で対価を得ていたが、次第に「剥がす側」へ。その時の葛藤はあったが、自分には「戻る道はない」と決め、「やるよ」という。その中には自分でも気づかない「欲」というものがあったんではないだろうか?
カーヴァーの側は、あまく深くは語られない。パーティーの夜に酔ったナッシュに話す父の話。数年前までは「普通の不動産屋」だったと。そのなかで、実はナッシュと同じように「葛藤」はあったはずだ(たぶん)。
思い出したのは、ちょうど来日している元ウルグアイ大統領のムヒカ氏の国連での名言スピーチ(ちょうどTVで特集してたんです)。「貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」ってやつ。なんだか彼らのことを言っているようでした。
最後はもっと血まみれな結末も予想していたけど、ややソフトなラストシーンです。
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