昨年の邦画は当たりだと言われていた中で何度か名前を聞いた本作。好評みたいですが、自分には良さがちょっと理解できません。

前半の地味で無味無臭な濱田岳と奇抜で少し気持ち悪いムロツヨシ、そしてキーマンである佐津川愛美。この複雑な三角関係がもつれ合うラブコメ臭。 からの一変。タイトル『ヒメアノール』ドーン！作風急変。いきなり森田剛を主軸としたバイオレンスムービーに激変。今までの作風と今後の作風を交差するかのように見せるシンクロは表現としては面白かった。 正直あのままクソくだらん濱田岳と佐津川愛美のイチャイチャを見せられてもむず痒くなるだけなので全く別物のような展開はありがたいのだが、イマイチその変化に面白さを感じられなかったかな。

イマイチなのは主演の濱田岳。原作はあるにしてもこのキャラクターのどこに魅力あるのだろうか。どこにでもいそうな素朴な男を演じた演技は悪くない。ただ、ムロツヨシ然り森田剛然り個性豊かなキャラがいる中でパンチが弱すぎると思う。 特に森田剛の演技は素晴らしかった。かなりのサイコパスっぷりはまさに狂気で常軌を逸した感じには怖さもあった。そしてその狂気には過度ないじめをきっかけに心を失ったことを思わせるシーンが見え隠れし、どこにでもいるような怖さもあるのだが、それにしてもラストは切なかった。

しかし、ラブコメとバイオレンスを合わせる必要はあったのだろうか。イマイチその必要性を見出せずに終わってしまった感もある。