[コメント] ヒメアノ〜ル(2016/日)
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タイトルバックは中盤に流され、ここで森田剛が主演と知らされる。そこまでは、誰が主演か定められていない。私の感想は、この選択は失敗。濱田岳、佐津川愛美、ムロツヨシの三角関係で展開、あるいは停滞させてほしかった。濱田の余りにも率直な人柄は殆ど危険なほどで、佐津川の色好みは『準喫茶磯部』の麻生久美子が想起される。深掘りすれば面白かろう。佐津川の友達のキャラも素晴らしい。ダラダラやった末に彼女とムロが溺愛に至ってよく判らないハッピーエンド。この方が絶対に面白い。優れた前振りは何処へ行ったのか。
森田のような人物造形は見飽きた。「社会に傷つけられた者は社会に復讐しても一定許される」という定型は松本清張お得意のパターンだが、忠臣蔵や平家物語にも遡れるだろう。この心情に訴えかけると日本人は簡単に騙され、秋葉原通り魔事件に半分共感したりする。本作が何か新しいことを語っているように見えるのも同様に錯覚だ。こんなハリウッド好みのエンタメではなく、イジメに耐えて「心を殺して」それでも生きている大多数を描くべきだ。同じ原作者だが、『ヒミズ』のヤケッパチな前向き感に感動した者としては、負け組宣言から始める本作は勘弁してほしかった。
だいたいイジメ主犯の川島殺し、怨恨関係から犯人の特定は容易であり、警察が森田を放っておく訳がない。設定に無理がある。濱田の森田に対する屈託が前半に何も見えず、途中から前面に出てくるのも拙いし、同じく後出しジャンケンな白い犬の説明など下手糞もいい処。佐津川の和姦と山田真歩の殺害のシンクロに至っては意味不明。森田・ムロのストーカー対決など、ムロが積み重ねてきたものが何処かへ飛んでいってしまっている。前半★4、後半★2。
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