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[コメント] 10 クローバーフィールド・レーン(2016/米)

そもそもこのタイトル付けたことで物語は破綻してしまってる。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 一応本作で褒める部分は二つある。

 まずは久々に観たジョン・グッドマンが良かったこと。この人、見た目以上に器用な役者で、人の良い好々爺のような役から、サイコパスの演技まで、実に幅広く演じられる人なので、ファンなのだが、今回も善人なのか悪人なのかなかなか正体を現さない複雑な役回りをちゃんと演じてくれていて、これは嬉しい。特に今回は密室劇のため、様々な表情を見せてくれるので、それは結構嬉しかった。

 もう一つは、『クローバーフィールド』という作品の幅を広げることに役だったと言う事だろう。なかなか続編が出来なかった作品だが、こうやってファーストコンタクト作品に次々「クローバーフィールド」印を付けていけば、いろんな矛盾を含めて大きな世界観の作品になっていく。以降「クローバーフィールド」印の作品が増えていくことを期待したいところだ。

 と、いくつか褒めるところはある。

 しかし、単体のSF作品として見る限りは、あまりにお粗末と言わざるを得まい。

 何より本作に「クローバーフィールド」のタイトルを付けたことが致命的。

 本作の本来の醍醐味は密室劇である。そして密室劇の面白さとは、外の世界と隔絶された状況で、互いに疑心暗鬼になるという過程が必要となる。

 本作の場合、ハワードの言う、外界の危機とは本当なのか。よしんば本当に危険なことが起こっていたとしても、本当にハワードは信じられるのか?と言う物語展開で、少ない状況判断から真実を探っていくという過程が必要になるし、物語的にはそれなりにちゃんとやってはいる。

 だが問題として、タイトルに「クローバーフィールド」を付けてしまったことである。このタイトル見ただけで、怪物が出てくるのは分かってしまった。タイトルでネタバレしてるんだから、密室劇の駆け引きなんかどうでも良くなってしまうのだ。

 どれだけ演出を良くして緊迫感を与えたとしても、それが全く役に立たないというのは致命的である。観てる側としては、物語の2/3以上は無駄な時間を過ごすことになってしまうのだから。

 で、待ちに待った怪物が出てきても、それがあっさり終わってしまうので、凄く消化不良に陥る。

 タイトルに「クローバー・フィールド」と付けなければ単なるB級作品として広く世に出すことはできなかった。一方でそのタイトルを付けたことでネタバレになって作品自体がとてもつまらないものになってしまった。困ったジレンマ作品である。

(評価:★2)

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