[コメント] レッドタートル ある島の物語(2016/日=仏=ベルギー)
台詞を排し動きの力だけで最後まで見せる、誠実な作品ではあるし十分面白くもあるのだが、これをサイレント映画的というのは少し違うと思う。サイレント映画の登場人物は無口ではなく普通に喋っている、重要なのはその内容が観客にすべて伝わる必要がないという点である。音楽は大げさで感情を誘導しようとする意図が露骨で興ざめ、地味でアーティスティックではなく派手でハリウッド的な部分が不満。蟹さん萌え映画としては優秀。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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この映画に私がいまいち乗れなかったのは同じようにロビンソン・クルーソーものであるロバート・ゼメキスの『キャスト・アウェイ』という映画が既に10年以上前に作られていることが原因である。『レッドタートル ある島の物語』は最終的に人間と島ではなく男と女、家族と人生という極めて平凡なモチーフへ回帰していく。ロバート・ゼメキスは『キャスト・アウェイ』で映画に最小限必要なものは男と女、人間ですらなく顔と認識できる物体が二つ(トム・ハンクスとバレーボール)だけあれば十分であると示し、さらにはそれで泣かせるシーンまで作ってしまったのだ。そのことを思うとこの映画の価値観とアプローチは随分古臭く平凡なものだと感じてしまう。
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