いがらしみきおのベースは、初期作品「ネ暗トピア」に代表されるナンセンスエロギャグ、休筆後の「ぼのぼの」に象徴される哲学ギャグ、この両極端だと思うのです。それ以外の作品はその組み合わせ（バランスはマチマチだが）じゃないかと思っていて、読んでないけどこの原作も同様ではないかと想像するのです。

で、この映画、「ジヌ（銭）よさらば」ということより、「人間の欲よさらば」ということなんだと思う。お金恐怖症は１エピソードにすぎないんじゃないか？ “神がたむろする場所”というようなことを連想させる「かむろば」というネーミングのこの村は、現世とあの世の境界なのかもしれない。そんな神に近い（神がいる）場所で、人間の欲望が交錯するギャグ。そういう話なんだと思うのです。

しかし「０円生活」みたいなことにスポットを当てたタイトル（と宣伝）で、本質が見えなくなってしまったような気がするのです。

(15.04.18 渋谷シネパレスにて鑑賞)