[コメント] 恐怖の岬(1962/米)
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いや、サスペンス度、スリラー度から行けば本当は5点もの。現代の映画だってここまでどきどきはらはらする映画はないだろう。最初から最後まで画面に釘付け。全編にわたって最大級のショックの連続という謳い文句に嘘偽りはなし。バーナード・ハーマンの音楽も煽って煽って煽りまくる。何よりキャストも良いし。正義の人グレゴリー・ペックとハリウッドのバッドボーイロバート・ミッチャム、この組み合わせが最高だし更に脇役でマーティン・バルサム、音楽も含め『サイコ』を連想した。終盤2人が川で闘うシーンは美味しすぎる。
ただ全編にわたって非常に不愉快だったのもまた事実。悪趣味なのだ。ケイディーは様々なタイプの「悪」を持っているから最悪の犯罪者だ。獣的な要素から見れば、ケープ・フィアー川で探偵をワニのように絞め殺すシーンなど。それと狡猾な悪、法律を巧く知っていたり弁護士を雇うところなど。そもそも逆恨みという実に理不尽な行為こそ根源的な悪だ。更に全体として忍び寄ったり脅かしたりするサイコ的な悪。少女が学校で怯えるシーンは最悪だった。奴のような犯罪者には千切り殺しとまではいかなくても思いっきりやっつけてほしかった。かなり後味が悪い。
悪趣味な要素は娯楽映画に必要ない。『ターミネーター2』は悪者に追われる緊迫感を見事娯楽として消化しているし、『サイコ』だったら変質者の恐怖を巧く表現している。この作品も演出が非常に巧いのだがややバランスが悪かったようだ。
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