[コメント] スパイ・ゾルゲ 真珠湾前夜(1961/日=仏)
電波探知車なる車の天井から突き出てクルクル回るアンテナがとてもインパクトがあり、初期SF映画の間抜けな美術みたいなのだが本物なんだろうか。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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その他はアクション少な目だし、知的ゲームとしても逮捕・死刑は誰もが知るところだから盛り上がらず、筋運びもぎこちない処があるが、史実の一断片をリアルに眺められたという感想はある。撮影美術は上等だ。
日帝とナチが相手ではソ連スパイは悪者には見えず。裃着たヒトラーの画の通りの時代だった。プーチンはゾルゲを尊敬しているらしい。ゾルゲがソ連の英雄だったのは、対ソ開戦がないとの情報によりソ満国境の兵20万を対独戦に移動させることができ、東部戦線の勝利につながったからだ、と劇中語られる。ゾルゲは真珠湾奇襲も知っていたんだぜと語られるが、この奇襲がよきことのように思われているのは日本だけだろう(米大統領周知説は取っていない)。
モールスの電信がシベリア中継したり、場所を特定されないよう海上から発信したりしているのが興味深い。美術展の作品番号が暗号になっているのが印象的だが、そんなことしなくてもいいように思う。岸恵子はスパイ役で無理矢理感なく好演。ホンには沢村勉も参加しているが、熊谷の右翼映画からキャリアを始めた人で、節操がないなあと思う。監督はソ連寄りの人物だったんだろうか。
小沢栄は「近衛も松岡も」とゾルゲとの関係を疑っているが、これも疑問の残っている処らしい。インタヴュー連鎖の冒頭と収束で、ゾルゲは生き延びていると語られるが、噂に過ぎないようにも取れて、何が云いたいのかよく判らなかった。
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