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[コメント] 3月のライオン 後編(2017/日)

世の中にはひどい連中がいるから上流市民だけ団結して脱出しようという映画。こういうのは当世風なんだろう。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







倉科カナをイジメる生徒たち、イジメを見て見ぬふりする教師、金目当てに寄りを戻そうとする父親。前篇には甲本雅裕の泥酔棋士もいた(広く見れば将棋界などまるで知らない神木隆之介の通う学校の生徒たちもそうかも知れない)。こういう「不幸」「迷惑」「サイコ」な連中の生活と意見を理解して、社会全体をよりよいものにしよう、という見識に、本作は全く興味を示さない。

示すのはただ、プチブルな意匠に身を固めた上流市民である将棋界、高校生にして給料78万円の神木隆之介と、いまだに八丁堀に菓子屋を出す金持ちな倉科一家への寄り添いである(どれだけ固定資産税払うのだろう。前田吟の菓子屋の主人の立ち位置は寅さんの対極にある)。

将棋映画と云えばかつては『王将』であり、そこで坂妻は日蓮宗とともに貧困からの脱出を図ったものだった。本作のまさに成金振りは、公明党が与党の時代に相応しい転身なのかも知れない。

(評価:★1)

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