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[コメント] 走れ、絶望に追いつかれない速さで(2015/日)

才能のある若手監督ではあるだろう。暁光の中でハンググライダーが芥子粒となるまで飛ぶシーン。ひたすら押し黙り涙にまみれ、すき焼きを食らう主人公の長回し。いいシーンは枚挙にいとまがない。だが、脚本は甘い。
水那岐

主人公が旅のなかでどう友人の想いに決着をつけたのかが、ただきれいな画の連続でごまかされたように映った。論理性が不足しているのだ。登場人物の書き分けもなされておらず、主人公への悪態のつきかたも同一人物のような相似性を見せてばかりだ。それゆえに主人公は独力で解答を掴まねばならない。そして「絶望に追いつかれない速さで」主人公は走ってゆくに至るが、得たはずの答えは結局なんだったのかは見えず、エンドロールは始まってしまった。

もっとも、はぐらかされた不快感は感じられなかった。独りよがりが障害にならないタイプの演出家なのだろう。もちろんこのまま大きくなっては心配だ。監督には勉強の必要はあると感じる。評価はそのときに下したい。

(評価:★3)

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