[コメント] 渡洋爆撃隊(1944/米)
しかし、『カサブランカ』のような僥倖は再度訪れることなく、かなり大味な出来栄えにとどまっている(私は『カサブランカ』も大味な映画だと思っていますが)。
本作の特徴として、まずあげなければならないのは、独特の回想形式だ。クロード・レインズの回想で始まったプロット展開の途中で、フィリップ・ドーンの回想が入り、さらに、ハンフリー・ボガートの回想が入るのだ。それぞれの回想の時間軸が異なるので、それほど混乱はしないのだが、とにかく、回想を使わないと、面白くできないプロットは、大した魅力がない、という証明になっている出来だと思う。そういう意味もあり、最初の回想前、1944年頃の時間軸で描かれる場面が魅力的だ。爆撃機の戦闘員ボガートが、ドイツ本土への爆撃後、イギリスの基地への帰還途中で、愛する妻(ミシェル・モルガン)に、上空から手紙を落とすシーン。
あと、ミニチュア模型のカットが頻出するのだが、これはいずれも良く出来ている。爆撃機は勿論なのだが、イギリスの田舎道を走る自動車の俯瞰カットや汽車や船も模型が使われている。
#備忘で配役等について記述しておきます。
イギリスの基地。記者のジョン・ローダーにレインズが回想を始める。レインズの回想はマルセイユへ航行中の船。船長にヴィクトル・フランサン、乗客の一人は植民地部隊の少佐でナチス寄りのシドニー・グリーンストリート。
漂流するボートに乗っていたのが、ボガートと、ピーター・ローレ、ジョージ・トビアス、ヘルムート・ダンティン、フィリップ・ドーンの5人。ボートに5人しか乗れないとなった際に残るのは、ウラジミール・ソコロフ。ソコロフは『荒野の七人』の村の長老。
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