[コメント] 密航0ライン(1960/日)
冒頭クレジットでは、長門裕之、小高雄二、清水まゆみ、中原早苗の4人の名前が一枚で出る(右からこの順番で出る)。長門と小高は2人とも新聞記者だが、ライバル同士。清水は、長門の妹で小高の恋人役。つまりヒロイン。中原は謎の女という位置づけだ。長門と小高は、香港・東京間の密輸組織を追っているのだが、長門は強引な、あくどい取材姿勢、小高は正義派、ということで、小高の方が出番が多く、プロットを進めるのは彼だ。特に、中盤は長門が消え、小高が主役に見える。というワケで、本作は前半と後半で、かなり印象の違う映画になっている。前半は東京、横浜、鎌倉を舞台にして、いくつかの事件をスピーディに繋いだ活劇であり、後半は、小高が日本海側の港(敦賀?)から香港へ密航を企てるスリルで引っ張るお話になる。特に、前半の長門や中原が絡む、銃撃や拉致のシーンでの素早いカッティングが絶好調で、後半はやゝリズムが緩慢になる。
また、前半の鎌倉の整形美容院で登場する東恵美子が妖艶な美しさで雰囲気を盛り上げるのと、小高の密航を仲介する女給(というか娼婦)を演じる初井言栄が、珍しくセクシー担当で、印象に残る。ちなみに、中原と長門には濃厚なラブシーンがあるし、清水も東も初井も皆下着姿を披露するが、初井はスリップ姿で、小高に尻を撫で回されるカットがある。
さて、終盤は、密航船の中での乱闘シーンとなるのだが、最終的に長門の役回りの方が、カッコいい儲け役なのだ。ルックスに関しても、小高は密航に際して酔っぱらった水夫を装うために、ワザとヘンな服装をしており(詳述は避けるが)、カッコ悪いのだ。また、本作もラストの展開は、ばたばたで終わった感がする。
#備忘でその他の配役等を記述。
小高の新聞社の上司は、永井智雄。警察側で密輸組織を追う刑事に高品格。長門が情報源にしている謎の中国人、小沢昭一。密航船への案内人は嵯峨善兵。船内には野呂圭介や榎木兵衛がいる。
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