[コメント] フィフティ・シェイズ・ダーカー(2017/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まずは前作と比べて「改善した」と思ったところ。それは「行為の見せ方」。前作は、少なくとも日本では「大きな真っ黒」に覆い尽くされていた印象。それがなんということでしょう。今回はほぼ「塗りつぶしなし」。見せ方、角度、体位などを工夫して、「見せないように、見せている」。だから「大きな真っ黒」に悩まされることなく、楽しめました。(我ながら、どストレートな感想だ)。
ただ、それ以外ストーリーの部分は、まったくもって「生ぬるい」。今回はそれぞれに「恋敵」が登場するという内容らしかったので、ちょっと楽しみにしていたのだが、なんというか、「面白味のかけらもない」。
まず、クリスチャンを「その道」へ誘った「ミセス・ロビンソン」こと小柳ルミ子、じゃなかった、キム・ベイシンガーが登場。その存在が「六条御息所」をイメージしたから「源氏物語」?と例えてはみたが、「あなたには無理よ」「お金目当てでしょ」「ふさわしくないわ」とか、初対面からアナを全否定。そんなことをしたらクリスチャンにかえって嫌われると思わなかったのかな?もっと、最初は優しく「彼との関係は後悔してるわ」「あなたのような方が、彼を支えてくれるから安心したわ」「なんでも相談してちょうだい」とか、アナを安心させて、二人を温かく見守るようでいて、その奥底に隠れた敵意を、少しずつ現してゆく、というほうが、ずっとドラマが深みが出ると思うのだけど。
過去のサブミッション(服従者)だったベラ・ヒースコートもそう。もっと「昼ドラ」的な事件や危機がいっぱいあってもいいのに。こうしてアナの前に出てくるのなら、もっと神出鬼没。物が無くなったり、壊されたり、勤務先へ怪文書を送ったり、徐々にアナを追い詰める存在になれるのに。そうして、精神的に追い詰めた後に、部屋に忍び込み、物理的に傷つけようとする。『危険な情事』的にハラハラする展開になれば、もっと面白いのに。
そして、恋敵三人目、アナの上司。若い頃のヒュー・ジャックマンみたいな男。純粋にアナの能力を見抜き、助手にしたのか、単に「モノにしてやる」候補で侍らせたのか。この映画を見る限り後者みたいだが、前者だったとした筋書きが見てみたい。アナの能力を伸ばしたいと思い、NY への同行を持ちかけるが、断るアナ。その原因がクリスチャンの横やりだという事に腹をたてる。俺が何とかしなければ、という思いが好意に変わって行く。彼の目にはアナは、金持ち男の気まぐれに振り回されているように写り、別れるように勧めるが、その為にクリスチャンが手を回し、クビにさせた。だから自分を陥れたクリスチャンに復讐をする機会を伺うとか。
それなのに、かなりストレートに馬脚をあらわす。壁ドンしてるし。過去に何人も助手が辞めているそうだが、アメリカは、そういう「ハラスメント」には敏感だと思うのですが。いずれにしても、ヘリ墜落はこの男のせいなのか。そのへんは、第三作で明らかになるのだろう。
と、恋敵候補三人も登場したのに、全くドラマは広がらず、終始アナとクリスチャンの二人の恋愛話に明け暮れる。それも見ているとハラがたつレベル。アナは、自分で拒絶して別れたのに、あっさり復縁。「なにもルールも、秘密もナシ」といい、そっとしておきたいデリケートな部分にどんどん踏み込む。「〜して」「〜しないで」。そのくせ、興味津々。もう何様?
クリスチャンも、やることがすべての「金と力」にモノを言わせる、いけすかないヤツ。所有物を独占したい、アナにも、他の人にも感情があることが判らない、お子様。秘密厳守だったはずの行為を、エレベーターの中や舞踏会での「銀の玉」。迫られたら拒めないアナにも問題があるが。ドラマを軽視して、ふたりのエロシーンばかり。小説ならアリなのかもしれないが、映画としては、少し疲れる。例えばヘリ墜落や、レイラ乱入発砲でクリスチャンがケガを負い、アナが看病するとか、いろいろ物語を膨らませられるのに、残念です。
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