[コメント] たまこラブストーリー(2014/日)
道を挟んで向かい同士のほゞ同業(ロミオとジュリエット的な敵対関係ではない)。2階の窓を使ったコミュニケーション。しかも糸電話。ちょっとありきたりな設定とイメージばかりだが、すっきりとシンプルに素直に見せる。
もち蔵の部屋での様子をジャンプカットで表現したりする部分も奇を衒った感じがしない。川の飛び石を舞台にして告白するシーンにしても、十分に切なく、またユーモアもほどよくあり、気持ちのいい場面になっていると思う。ラストの新幹線ホームのシーンも、黒画面を使った演出が綺麗に決まっている。全体に、バランスの良い好感の持てるラブストーリーだ。
キャラクターでは、たまこのバトン部の友人「かんな」が、いちいち面白かった。その登場シーンの変な歩き方といい、随所にある変なセリフといい。
プロット上、マーチングフェスティバルの場面は重要な位置付けだと思うのだが、作画も、もっと見映えのするものになるかと予想していた。それが、案外スケールが小さくて肩透かしだった。
あと、ラスト近くで、京都タワーが出て来るのを見て、舞台が京都だと分かったのだが、誰一人関西弁をしゃべっていないことに違和感を覚える。これには、ちょっと複雑な気分になる。
実は、例えば、アメリカ映画で、ドイツを舞台として登場人物全員がドイツ人の設定、でも全員が英語をしゃべる、という映画を私は特に気にせず、この点を批判する意見に対しては、どうせ映画は虚構なのだからいいのだ、と英語の使用を擁護する立場に立っているのです。それが、日本映画の日本語の方言には敏感に反応するというのは、我ながら一貫性がないと思うのだが、「身近さ」の感覚での偏向が入ってしまうのだ。お国言葉を使わないのなら、その地方らしさは封印した方がいいと思う。観客によけいなザワザワした感情を起こさせないために。
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