[コメント] 我が道を往く(1944/米)
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今から見ると、あまりにもオプティミティックで出来すぎた感のある作品だが、この当時の世相を考えると、むしろこの作品こそが最も求められていたのかも知れない。なんせこれが公開されていた時は第二次世界大戦の真っ只中。世相そのものが軍国主義一辺倒で、ニュースも暗いものばかり。そんな時だからこそ、映画ならではの飛びきりの楽しさを見せてやろう。という心意気に溢れているようだ。改めて考えてみると、戦争の真っ只中でこんな作品が作れるんだから、アメリカって凄い国だ。翌年、戦争に勝った時のオスカーが『失われた週末』(1945)更に翌年が『我等の生涯の最良の年』(1946)と、重い作品が連発しているので、世間の風潮とは全く逆の作品になっているのが大変興味深い所。
勿論物語も前向きでとても清々しい話で、ちょっと物語は色々詰めすぎの感はあるし、「いくら何でも出来過ぎだろう」とか思う部分も確かにあるものの、その前向きさ加減が本作の最大の強味だ。
何より配役が良い。いかにも頭の硬い神父役をフィッツジェラルドが好演。抑え気味の演技が、最後の明るい笑顔に結実するのはやはり見事。もう一人の主演男優賞を取ったクロスビーは、一見軽そうに見えながらその実しっかり者という役をそつなくこなしてる。それまで歌手としても人気を得ていたが、本作で演技派俳優としても認められるようになる(クロスビーはアカデミー授賞式に出ておらず、ゴルフを楽しんでいたが、受賞の知らせを受けて慌てて駆けつけたが、なんとカツラを忘れていたと言う笑い話がある)。
明るい作品を求めている時にはぴったりの作品と言えるだろう。
尚、神父がセーター姿で野球帽をかぶっているのが不謹慎だと言うことで、ラテンアメリカの何国かでは上映禁止となったとか。
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